今日は私の友人に頼まれていたオリンピックフィギアスケートのエキシビジョンをダビングしたビデオテープを渡した。それを渡たし終えてから思ったのは、多分ビデオテープを使うのは私たちの世代が最後だということだった。
家庭用ビデオはソニーが1975年にベータ方式、翌年に日本ビクターがVHS方式を発売し史上初のフォーマット戦争となった。家電メーカーはどちらかの方式に分裂し、製品ラッシュが続いた。おかげで技術的な進化と、低価格化が進んだ結果、2時間という実用的な録画時間にしたVHS方式が世界標準となった。私の家にビデオデッキが来た時にはすでにVHS方式だったように記憶している。だから今の大学生でベータを知っているのは機器マニアであることに間違いない。
このベーター・VHS戦争を知らない世代も、巻き込まれそうなのが次世代DVDを巡る戦争である。現行のDVDではデジタルハイビジョン放送をそのままのQualityでは保存できない。事実、今普及している大画面テレビでDVDに録画した番組を見ると、放送時との画質の違いに落胆してしまう。だからハイビジョン放送に対応した、次世代DVDが必要となってくる。
しかしこの規格を巡り、DVDを開発した東芝を主導とするHD-DVD規格と、ソニー・松下などの家電メーカーを中心とするBlue-ray規格が対立している。今回は家庭用のビデオだけでなく、パソコンのメディアや家庭用ゲーム機の記録メディアとしても利用されることが決まっているため、家電・PC・ゲームといった幅広い産業に関連し合うから話は複雑だ。事実マイクロソフトは次世代のwindowsのOSとゲーム機のX-BOXにHD-DVDを採用する。一方PCで有名なHPはblue-rayを採用し、ソニーは次世代のゲーム機PS-3にも採用する。
こちらでは利用できるが、こちらでは利用できない。なんとも不条理なシーンがこれから出てくるかも知れない。ただ唯一救いなのは、HD・Blueにしても同じ12センチの光ディスクだから、単純に言えばモータは共通で読み取り部分だけ2つあれば両方対応できるということである。ただ価格は大変なことになると思うが。
こうした不条理が進んでいるが、私のようにAV・ITが好きな人から見れば、今色々なメディアが切り替わっている時期だと思う。
例えばカセットテープは完全にMDやボイスレコーダーに取って代わられ実際に使う事は少なくなった。カセットからウォークマンの主役を奪ったMDもI-podをはじめとするデジタルオーディオプレーヤーに切り替わっている。VHSもDVDへと移り変わっている。こうしたメディア以外にも、例えばテレビ放送がアナログ波からデジタル波に切り替わり、ISDNやADSLが光ファイバーへと変わったりと様々な分野での切り替えが進んでいる。
ただここで注目するべきはメディアの寿命が短くなっていることである。例えばレコードは100年前にエジソンが発明し、それから音楽を吹き込んだ円盤形が登場し、音楽文化が花開いた。それがCDに取って代わられたのは約20年前である。つまりレコードの時代は80年間である。オーディオ用のカセットも1970年代に発売され、2000年頃にMDと交代するから、約30年間の寿命である。
その一方でデジタルメディアの寿命は短い。例えばMDは1992年に発売され最近では携帯オーディオプレーヤーに主役を取られた。その期間はわずか10年足らず。DVDは1996年に発売されてようやくレコーダー規格も浸透してきたが、4月に東芝が次世代DVDのハードを投入するニュースが流れた。となれば10年もしない間に次世代規格に切り替わっていく可能性は高い。家庭用のビデオカメラのテープも8ミリからデジタルテープへ、それからDVDやHDDへとどんどん変わっている。
まだマウスがほどんど使えず、なんとかコマンドを覚えてパソコンをいじっていた時から私はパソコンやデジタルメディアのお世話になっていたが、その当時誰もがパソコンを使うとは思いも寄らなかった。ネットカフェが出来るとは想像できなかった。ビデオとつないで編集をすることなど夢にも思わなかった。そう考えるとこの10数年の進歩はめざましいものがある。だから技術の進歩は認める。事実その恩恵にあずかっている。しかしメディアをどんどん変えて機械を売ろうとするメーカーには社会的責任を自覚してもらいたい。世界中にはMDのハードだけで累計1億台存在する。ビデオデッキに至っては8億台もありテープは300億巻もあるという。もちろん全部が残っているわけでなく、カビなどで劣化が進んでいるモノも多いと思う。しかしそこに記録されたデーターはアナログかデジタル信号かもしれないが、かけがえのない記憶もあるのである。
目の前の機械がすべて入れ替わると確かにメーカーは儲かると思う。その切り替えが画期的であれば我々も反対はしない。それを繰り返すことによって我々の今の便利さが成り立っている。しかしそこにビジネスチャンスがあるからと、メーカーの利権争いをされては消費者は困る。その一方で切り替わり使えなくなるメディアがこれからより増えてくることが懸念される。規格を提唱したメーカーや団体は責任を持ってアフターフォローをしてもらいたいと思う。
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