最近ニュースにも取り上げられなくなった、ブッシュ大統領。最近ではイラク情勢の行き詰まり感を見せる一方で、隣国イランの核兵器開発に圧力をかけるなど、相変わらずの強硬路線を突き進んでいます。無論支持率は低下しています。末期の政権ですから注目度が下がるのは当然でしょうが、声高にテロ撲滅と叫んでいたあの時とはあまりにも対照的なような気がします今回は私が感じるアメリカの偽善を考えてみます。
同時多発テロを受け、アフガニスタンに軍事侵攻し、犯人であるアルカイダ幹部を取り押さえることなく、親米政権を立ち上げました。ここまではある一定の国際世論の理解は得ましたが、次にアメリカはその矛先をイラクに向けました。国連安保理で今から見ればあることないことをでっち上げ、理由をつけて口実を作ろうとしますが失敗し、結果的に単独に近い形での軍事侵攻をすることになりました。
その目的はフセインを逮捕することでも、イラクに自由を与える事でもないことは誰の目にも明らかです。本当の目的は石油でした。アフガンの時と違い、アメリカの偽善が明らかに見え隠れしていたから、誰も賛成しなかったと言えます。例え自分の国の利益であれば、国際世論が何を言っても突き進む。アメリカの強さでもありますが。
私はイラク侵攻を見て私はブッシュは熊に例えることが出来ると思いました。熊は秋になると冬眠のために栄養を蓄えようと様々な植物を食べます。その中で好物なのは蜂の密です。熊は蜂に刺されながら巣を襲い、密を食べようとします。ブッシュが熊であるなら、イラクは蜂巣であり、密は石油になります。しかし襲ってみると蜂(テロ)の猛攻を浴びたと考えています。結果的に新政府はとりあえず作ったものの、石油は取れずじまい。多大な犠牲と反米感情が残った結果となりました。
一方アメリカ国内にもイラク情勢が大きな影を落としています。イラク戦争で志望した兵士の人数はベトナム戦争時に並ぶ勢いになり、兵士のPTSD(心的外傷後ストレス障害)の増加しており、脱走する兵士も後を絶ちません。その兵士の補充のため州兵(州独自の軍隊)を代わりに派遣をしていますが、ハリケーンカトリーナの襲来の際、州兵が不足しており災害復旧に遅れが出るなどマイナス面も指摘されています。
昨年から今年にかけての原油高はハリケーンの襲来による精製能力の低下や、途上国の消費拡大など様々な理由を挙げられていますが、一番は生産国の不安定さに尽きます。これにはイラク情勢が深く関与しており、その影響を最も受けているのはアメリカでしょう。例えばGMが経営不振に陥ったのは、ガソリン価格の上昇の影響から、日本車や韓国車などのハイブリッド車・低燃費の自動車に需要がシフトしているからです。石油目当てで戦争を起こして、多大な犠牲を払ったにもかかわらず、石油は手には入らなかった。それだけでなく原油高で経済に悪影響を与えてしまいました。自国の利益を追求するがあまり、自国を苦しめている。本末転倒です。アメリカの偽善で首を絞めたと私は思っています。
これは野球のWBCにも言えることでしょう。そもそもこの大会はメジャーリーグの強さを見せる目的で始まった大会です。放送権料といった収益、勝敗率やトーナメントなどの運営方法、問題になった審判など全てアメリカに有利な基準で出来ています。しかしふたを開けたらどうでしょうか。メジャーの選手は実は中南米やアジアの選手によって支えられていた事が明確です。アメリカに有利な審判などいかに不公平なシステムであったかを路程しました。普通スポーツの酷さ大会であれば、試合をする国の審判はほとんどいません。アメリカの試合でアメリカ人が審判をするから、あのような判断が出来るのです。
アメリカは経済力、軍事力とも世界に冠たる国ですから、アメリカ中心の偽善が生じて当然です。元々世界一英語が話せる人が多い国です。そのため国際会議をしたりするにはもってこいの国です。だから日本人がいくら英語を話してもアメリカにはかないません。第二次世界大戦後世界一の経済力と軍事力をもったアメリカは自分たちが世界の中心であることを自負しています。しかし世界はアメリカだけではありません。今回のWBCを見ても分かるように、アメリカの野球を支えているのは南米やアジアの野球選手であるように、アメリカ社会は様々な国よって成り立っていることを考えるべきでしょう。しかし、アメリカ人は自分が世界の中心であることを自負していますから、グローバルスタンダードとしてアメリカ基準を世界に要求しています。それを鵜呑みにしてはいけません。
ではどうすればいいのでしょうか。今回のWBCの試合運営を見ても分かるように、アメリカンスタンダードを追求するあまり、優勝はおろか、決勝にも残らなかった。自分中心主義のアメリカが次回もこの大会をするかどうかははっきり言って不透明です。だったら私はこんな大会はやめた方がいいと思います。
野球が盛んな国は中米やアジアが中心です。韓国はシーズン終了後日本と試合がしたいと言っていますから、アメリカを除いた中米とアジアでワールドシリーズをすればいいと思います。元々アメリカの選手はメジャーリーグにはそれほど多くないですし、アメリカ中心主義のルールの下で試合をしても、公平とは言い切れません。だからこの大会をすれば野球が盛んな国のほとんどをカバー出来ますから、世界大会と言っても支障はありません。
経済だって同じ事です。国連もIMFもアメリカの偽善です。第二次世界大戦後のアメリカ中心のルールを運営する為の組織ですから、日本が国連の常任理事国にならなくても十分です。もしなったとしてもアメリカにNoと言えない国がなった所で、他の国から信頼される訳ありません。日本は国連の分担金で大きなウエイトを占めているのですから、「お金を出さないぞ」と言うだけで今でも十分な存在感があります。そもそもイラク戦争や今までの紛争で国連は十分にその機能を発揮していませんから、国連という美しいイメージを日本人はそろそろやめるべきではないでしょうか。
経済にしろスポーツにしろ、アメリカが強大な影響力を持つ限りその偽善に振り回されるのは当然です。その場合にどうするのか。WBCは偽善を利用することで勝利を収めました。しかし、次回はまたやり方を変えてくるでしょう。スキーのジャンプが長野大会以降不振にあえいでいるのは、日本の活躍によってアジア人には不利なルールに改正されたからです。日本がこうした条件で活躍するには、ルールに対応することも大事かもしれませんが、本質を見極めて別の枠組みを作る取り組みも必要だと私は思います。
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